娘、時々ネコ。たまにWebとか工作とか

2015年秋生まれの娘、夫、茶トラとサバトラの猫。3人+2匹で都内で暮らしています。

田町の愛育病院で麻酔分娩(無痛分娩)で出産したときの話②:入院から麻酔まで

その1はこちら。

その1を書いてから1年近く放置してしまったのですが、なんだか上の記事が「愛育病院 無痛分娩」のキーワードでかなりアクセスがあるようで、「無痛分娩の記録」と書きながらまだ陣痛も始まってない…とちょっと申し訳ない気持ちになっていたのでした。

そんなわけて、随分時間がたってしまい記憶もかなり曖昧なのですが、思い出しながら出産当日の話です。2015年時点の話なので、その点を頭においてお読みください。

予定日3日をすぎてようやく陣痛が

陣痛を感じ始めたのは予定日を3日ほど過ぎた朝の5時頃。「あれ、何かお腹痛いかも…」と感じて目が覚めました。生理痛にも似た腹痛はこれまでにも時々あったのでまたそれかなあと思っていたのですが、夢うつつの中で「あ、また痛い…」「あ、痛くなくなった…」「あ、また痛くなった…」と考えているうちにふと気がつきました。なんだか痛みが定期的にきているみたいだし、これって陣痛じゃないの?

その瞬間に、「そういえば予定日過ぎていて来週出てこなかったら陣痛促進剤を使いましょう、って言われてたんだ…!」ということを思い出しました。スマホにインストールしていた陣痛アプリを使って間隔を計測すると、10分間隔。間違いない、これ陣痛だ。 

横で寝ていた夫を叩き起こして「陣痛きた」と告げ、とりあえず朝食を取ることにしました。愛育病院の場合、麻酔を入れる4時間前(3時間だったかも?)までに食事を済ましておく必要があり、また麻酔を入れている間は食事をとることができません。「十分に陣痛がきていて子宮口も開いているのに『最後の食事から4時間たっていないので』という理由で麻酔を待たなければいけない」というのを私は恐れていました。ということで、とにかく早めに食事!

陣痛から入院まで

さて、陣痛がきたといってもすぐに入院出来るわけではなく、私の場合は家が比較的近いこともあり「初産ですし、5分間隔になったら病院に連絡してくださいねー」と言われていました。それまでは自宅でリラックスして軽く体を動かしたり、お風呂に入ったりして、陣痛が進むのを待つの、だそうです。初産は時間がかかると聞いていましたが、全くもってその通りでなかなか間隔が縮まらない。10分、9分、8分…あ、ちょっと短くなってきている?と思うのですが、また10分に戻ったり。

痛みが続くのは1分程度なので、それ以外の時間は普通に過ごしていられるのですが、何となく10分おきに痛みがくると思うと落ち着いてもいられず。本を読んでも集中できず、ベッドの上でスマホを触りながら「初産 陣痛 どのくらい」とかだらだら検索しながら過ごします。

結局、なんとか5分間隔になったかな、と思えるようになったのが、最初に陣痛を感じてから12時間以上経過したその日の夕方。正確にはかると「5分かな…いや7分かも…」というレベルだったのですが、正直なところこれ以上先の見えない状態で耐えることが辛くなっていました。勿論、病院に行ったからといって陣痛が進むわけではないのですが、これ以上先の見えない状況に耐えられる気がしなくなり、病院に「5分間隔になりました!」と電話。病院のOKをもらって、あらかじめ登録していた陣痛タクシーを呼び出します。

自宅から病院まではタクシーで15分ほど。自宅マンションの入り口に車をつけてもらい、大して歩くこともなくタクシーに乗り込んだのですが、少し歩いたこととタクシーの振動の影響か、ここにきて急速に痛みが増加。間隔は変わらず5分程度だったのですが、陣痛が来ている間はタクシーの中にも関わらず「いたたたたた!!」と声を押さえられない状態。タクシーの運転手さんもいるしあんまり声をあげるとみっともないよな…と一瞬思ったような気がするのですが、痛みの前にはそんな恥らいも吹っ飛んでしまい。

入院から麻酔が打たれるまで

病院の入り口にタクシーが着いた時点で、痛みはかなり強くなっていました。タクシーから降りたものの、痛みで座り込んでしまって動けない。病院の方が持ってきてくれた車いすに座ってLDRのあるフロアに運ばれました。ここまで痛いんだから、これ絶対5センチぐらい開いてるでしょう、即麻酔だよね、食事控えといて良かったー!と思いながら内診に挑んだものの、結果は「今3センチぐらいですねー」との衝撃の言葉。 

え、この痛みで3センチなの?出産時って10センチまで開くんだよね?ちょっとマジ無理これ以上は無理なんだけどこの痛みは全然序の口ってこと?と混乱する私。

事前の説明では「5センチ程度まで待つのがよいと考えていますが、希望があればそれより早い段階でも麻酔を打ちます」と言われていました。麻酔を打つと一般に陣痛が弱まり、お産が進まず、結局時間がかかりすぎて帝王切開になってしまう…というような事態を避けたい、というのが、この「5センチ程度までは待って」の背景にあるようです。とはいえ、「希望があったタイミングで打てます」と言われていたので、この段階でも「もう無理です麻酔打ってください!」と言ったら打ってもらえたのかもしれません。

ただ、「5センチ」が自分の中で一つの敷居として既に出来上がってしまっていたため、なかなか言い出しにくく…看護師さんの側から「麻酔打ちますか?」と聞いてくれたらその場で即YES!と返答していたに違いないのですが、それを分かってか向こうから言い出すこともなく。結局、何度も「やっぱりもう麻酔おねがいしますって言おうかな・・・」と思いながら、最終的には5センチまで待ったのでした。 

さて、愛育病院は全室LDRとなっており、入院から出産まで一つの部屋で行われます。お産の進み方がよくわかっていなかった私は、入院したら助産師さんやドクターがそばについて即出産準備体制、となるのかと思っていたのですが、TVドラマで見るようなそんなシーンは出産のクライマックス部分のみ。子宮口が前回になり出産準備が整うまでは、胎児心拍などがモニターされ時々は助産師さんが様子を見に来るものの、基本的には放置状態で陣痛が進むのを待つ、という状態。一通り内診して特に異常がないと分かると、「じゃあ陣痛進むように、歩いたりして頑張ってくださいねー」と去っていく助産師さん。後に残された私と夫は「え、頑張るってなにを…」とやや呆然。

とりあえず歩いて見るか…と思っても、数分おきに陣痛が来ると歩くどころじゃない。トイレに行くにも陣痛と陣痛の合間にダッシュして全速力で排出(笑)し、戻るタイミングでまた陣痛がきてその場にうずくまる…という状況。結局、ちょっと歩いてみたりはしたものの、入院から約3時間ほどは「開け〜子宮口開け〜5センチまで開け〜!」と祈りながらひたすら痛みをやり過ごしていました。

いよいよ麻酔が打たれます

入院してから約3時間。何度目かの内診でようやく助産師さんから「あ、今4–5センチぐらいですかね、麻酔打ちますか?」との待ち望んだ言葉が。「打ちます、お願いします!」と即答すると、「では今から準備しますね」との返答。この時点で、個人的には痛みは「もうこれ以上は耐えられない!」レベルに。

しかししかし、ここまで来てもまだ色々準備があるのでした。麻酔が入ると、その後は基本はベッドの上から動かず(左右に寝返りとかは打てます)、万が一の事態に備えて点滴のルートがとられ(これはこの後、陣痛促進剤を入れる場合にも使われます)、血圧、酸素濃度、胎児心拍を計測される状態をキープ。そのため、右手に点滴のルートと酸素濃度を図るセンサー、左手に血圧計、お腹には胎児心拍のモニター、下半身は導尿(麻酔効いてるので排尿できません、そもそも動けないからトイレいけないし)そして背中に麻酔の管、と全身管だらけになります。

「じゃあ麻酔いれましょうか」となってから、この準備が順に始まります。その間にも3ー5分間隔でやってくる陣痛。点滴のルートも陣痛と陣痛の間をぬって素早く入れてもらうのですが、そんな時に限って失敗。でも、陣痛の痛みで正直点滴の痛みなんて全く気にならないレベル。点滴の針の痛みは全く気にならないけど、一度失敗すると「次の陣痛の谷間までさらに3分待たなきゃいけない…」ということに絶望的な気分に。

諸々の準備が終わってようやく、「じゃあ麻酔科医の先生を呼びますねー」と言われました。愛育病院は24時間麻酔分娩対応可能ですが、時間によっては麻酔科の先生が当直ではなくオンコール(自宅で待機しており電話で呼ばれて病院に来る)こともあるようです。私の時は院内にいらっしゃったようで、20-30分ぐらいで到着しましたが、オンコールの場合は1時間とかかかったりもするのでしょうね。

麻酔科の先生が到着すると、ようやく硬膜外麻酔が打たれます。横向きになって背中を丸めて背骨のあたりに注射。この注射が痛いと聞いていましたが、ここまでくると「ようやく…ようやく…麻酔が入る!」という喜びで、痛みがあったかどうかほとんど覚えていません。いきなり麻酔の管を入れるのではなく、最初に皮下に痛みどめの注射をするのですが、これがちょっとちくっとしたような気がしないでもない。

麻酔は背中に一発打って終わり、ではなく、この時に麻酔の管を硬膜外に通し、その管を通してゆっくりと麻酔を入れていきます。管は分娩が終わるまでずっと入ったままなので、途中で麻酔の量を調節したりもできるそうです。

麻酔がきくと、もう本当に痛くない。びっくりするぐらい痛くない!

 麻酔の管が入って10分だか20分だか。ふと気がつくとあれほどだった陣痛の痛みが消えていました。陣痛の波はきていますが、痛みのレベルは波のピークでちょっとした生理痛の痛み、ぐらい。全然耐えられる。なにこれ、もしかして陣痛が弱くなってしまったのでは…と一瞬不安になりNSTのモニターを見たら60-70あたりを指しておりむしろ前より数値が上がっている(麻酔前の「これちょっと耐えられない…」という痛みのときで、maxの数値が40-50程度でした)。あ、本当に麻酔効いてるんだ…となんだかものすごい感動。

麻酔を入れる前は、陣痛に合わせてNSTの数値が上がるのが恐怖だったのですが、痛みを感じない今となってはむしろ数値が上がっていくのがゲームみたいで面白い。「あ、もうちょっとで70こえそう、あ、超えた超えた!」と夫とモニターを眺めながら面白がれるレベル。

さて、麻酔を入れたらそのまま陣痛促進剤を入れお産をすすめるのかと思っていたのですが、ここで助産師さんの驚きの言葉が。「麻酔も効いたようなので、じゃあこのまましばらく様子を見ましょうか。朝ぐらいまでこのまま自然の進行にまかせて、そこから陣痛促進剤も検討しましょう」。そ、そうなんだ…

このあたりは病院によっても、また愛育病院でも妊婦さんや出産のタイミングによって異なったりするのかもしれません。私の場合は初産で、陣痛が始まってから5センチになるまでも12時間以上とかなり時間がかかっており、しかも麻酔を打ったのでここからさらにペースダウンするだろうと予測されたのでしょうか。陣痛のあるタイミングで「朝まで自然に」とか言われたら絶望の淵につきおとされたような気分になっていたかもしれませんが(というか、そもそも自然分娩だったらそれが当たり前なんですよね…)、麻酔で痛みもとれたし「あ、そうなんですね、朝まで待つんですね。まあいっか」という気分でした。麻酔効果恐るべし。

 続きます。次で終わる予定です…

なかなか完結しなくてごめんなさい、とうちのネコたちも申しております。

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