娘、時々ネコ。たまにWebとか工作とか

2015年秋生まれの娘、夫、茶トラとサバトラの猫。3人+2匹で都内で暮らしています。

田町の愛育病院で麻酔分娩(無痛分娩)で出産したときの話①:産院選びから麻酔学級まで

2015年に田町の愛育病院で無痛分娩(愛育では「無痛分娩」ではなく「麻酔分娩」という言い方をしますが、一般には「無痛分娩」の方が良く知られていると思うので、こちらでは「無痛分娩」を使います)で出産してきました。初めての出産というだけでも不安なのに、「無痛分娩」というまだまだレアな出産方法。不安を鎮めるために、当時はひたすらネットを検索してブログやら体験談やらを探し求めていました。

 

結論から言うと「無痛にしてよかった!」です。私は子宮口4センチぐらいの段階で麻酔を入れたのですが、既にその時点で「もう無理…」と思うほどの痛み(と個人的には感じていた)でした。そこから麻酔で痛みがほぼゼロになったおかげで本当に助かりました。あの段階からさらに痛みが増していくとかもう想像がつかない…麻酔がなかったら下手したら「切ってください!」とか叫んでいた可能性もあります。

 

無痛にマイナスのイメージを持つ人は「無痛で産んだ」ことを大っぴらに言わないようですが、私は前述の通り「無痛にして良かった!」と心から思っているので、産後も聞かれるたびに「無痛はいいよ!お勧めだよ!」とあちこちで話していました。「痛みを感じないなんて母親としての自覚が…」的な反応もあるのかな、と思っていたのですが、意外にみんな興味津々で、特に第一子を産んだママなどは「興味あるんだけどよくわからなくて…二人目生むなら検討したいから詳しく知りたい!」という人が多かったです。情報を求めている人が多いんだなあ、と改めて思いました。

 

そんなわけで、無痛分娩を検討している人に何かしらの助けになれば…と思い、書いてみることにします。

なぜ無痛分娩を選択したのか

痛いの嫌。どうしても避けられない痛みなら我慢するけど、避けられる痛みは避けたい

身もふたもない言い方をしてしまえばこれが一番の理由です。「会陰を切られる痛みが全く気にならないほどの陣痛の痛み」とか、私は絶対無理だ…と思っていました。正直、無痛分娩という選択肢がなかったら出産していたかどうか…

里帰りしない夫婦二人だけの育児が待っているため、なるべく体力を温存したかった

産後1週間ほど夫は有給を取ってくれましたが、その後は日中は私1人での育児。夫婦ともに両親は遠方なので、すぐに呼べる状況にもない。何かあったらすぐベビーシッターサービス使おうと準備したり、品川区の産後ケアサービスを調べたりはしていましたが、とにかく少しでも体力は温存しておきたかった。

愛育病院を選択した理由

妊娠が判明してすぐに、無痛で産める都内の病院を探しはじめました。といっても、無痛であればどこでもいい、というわけではありません。豪華な食事とかおしゃれな個室とか産後エステとかそういったものには全く興味が無かったのですが、譲れない点が2点だけありました。それが「周産期母子医療センターであること」と「自然分娩からの無痛分娩に24時間対応していること」です。

周産期母子医療センターである

周産期(出産の前後)に関わる専門医療施設として「周産期母子医療センター」というものがあります。NICU(新生児集中治療室)やMFICU(母体胎児集中治療室)を持ち、ハイリスク妊娠の対応、新生児搬送の受け入れ、高度な周産期医療などが行える施設です。出産時にトラブルがあって産院から別の病院へ搬送、といった話を聞くことがありますが、そのときの「搬送先の別の病院」になるのがこれらの周産期母子医療センターです。設備によって「総合」と「地域」の2種類があり、「総合」の方がより設備が充実しています。

 

私はアラフォーの高齢初産だったので、とにかく「安全に生めること」が出産に希望する第一の条件でした。ということで、産院選択の第一の条件として「周産期母子医療センターであること」をあげました。何かトラブルがあって別病院に搬送されることになったときに、「搬送が遅れて」「受け入れ先が見つからなくて」ということになったら後悔しても後悔しきれない。その搬送先である周産期母子医療センターであれば少なくともその事態は避けられる。「100%安全」な出産はないけれど、すくなくともここでダメだったら他の病院でもダメだっただろう、と思えるところにしよう、と考えました。

自然陣痛からの無痛分娩に24時間対応している

 無痛分娩には大きく二つの方法があります。陣痛がくるのを待ってから麻酔を入れる方法と、計画分娩で日を決めて計画的に陣痛を起こして出産する方法です。人によっては計画分娩に「誕生日を人為的に決めるなんて」というネガティブなイメージがあるようですが、少なくとも私はそれはありませんでした。

 

それでも計画分娩を避けたのは、「陣痛促進剤って、自然陣痛より痛そう」という印象と、計画分娩で予定日より早く陣痛がきてしまったら、しかもそれが無痛分娩対応外時間だったら…と恐れたからです。計画分娩での無痛分娩を実施しているところは、「計画」が故にそもそも麻酔対応時間が決まっているところが多いです(もちろん、計画分娩でも24時間対応しているところもあるようですが)。予定日より早く陣痛がきてしまったが故に無痛に出来なかった…となることは避けたい、と思いました。

上記で選ぶと候補は3病院に

上記の2点で選ぶと、候補にあがった病院(東京23区内)は以下の3病院のみでした。私が調べた限りなので、実際にはもっと多いかもしれません。調べ方は、wikipediaにある「周産期母子医療センター」の項目の東京都内の病院をかたっぱしから、「病院名+無痛分娩」で検索するというアナログな方法です。単に「無痛分娩」を取り扱っている病院という点で選ぶとかなりの数が出てくるのですが(少なくとも東京都内では)、個人病院であったり無痛といっても計画無痛のみ・24時間対応なし、だったりと、この時点でかなり候補が絞られてしまいました。

絞り込んだ3病院から、最終的に自宅と職場からの近さで愛育病院を選びました。

 

産院は愛育、ただし、妊婦健診は「産科セミオープンシステム」を利用してクリニックで受けました

「産院を愛育にしよう」と決めてから色々調べていて知ったのですが、「産科セミオープンシステム」という仕組みがあります。愛育病院のサイトから引用するとこんな感じです。

産科オープン・セミオープンシステムとは、病院の設備とスタッフを地域の診療所の医師に開放(オープン)して、共同で病院を利用するシステムです。 このシステムでは妊婦健診は近くの診療所で受け、分娩は病院や周産期センターで行うことにより、分娩の安全性と妊産婦さんの利便性を保ちながら、 それぞれの医療機関の特性を生かした役割分担が可能となります。

周産期センターのようなハイリスク対応の病院は、緊急時対応や入院患者対応などの「本当にその機能を必要とする人たち」を優先的に担当し、正常妊娠で大きなトラブルの無い妊婦の健診などは近隣のクリニックを活用してもらう、という仕組みです。このシステムを利用して、32週までの妊婦健診は完全予約制のクリニックで受診しました。

 

このシステムは本当に良かったです。愛育病院も完全予約制なのですが、そうはいっても大きな病院で大勢の人が受診しているため、妊婦健診で結構待たされることもありました。一方で、32週までお世話になっていたクリニックは医師2名の個人クリニックで、予約するとほぼ待たずに受診できました。10時の予約で10時少し前に病院に到着して、受付して血圧と体重をはかって10時5分には診察室に入り、健診やらエコーやらをすませて10時半には病院を出る…なんてスケジュールの時もありました。4Dエコーを導入している病院でドクターの診察の前に助産師さんがエコーを見てくれるのですが、それほど時間に追われていないからか胎児の顔が見える角度を随分粘って探ってくれたり、エコーを見てもらいながら色々質問したり、といったことも可能でした。

 

 愛育病院の麻酔分娩学級に参加した時のこと

さて、愛育病院で無痛分娩(麻酔分娩)を選択する人は、「麻酔分娩学級」の受講を勧められます。受講していなくても無痛対応可能のようですが、受講すると無痛分娩費用が25万円から20万円に値下がりするので(麻酔分娩学級の受講料金は2,000円)、無痛を考えている人はほとんど受講するようです。ちなみにこの麻酔料金、私が出産した1年半前は確か18万円(未受講者)/16万円(受講者)だった記憶があります。1年ちょっとで随分値上がりしている…!!

 

学級では、ドクターと助産師さんがそれぞれ、無痛分娩のメリット/リスクについて話してくれます。もううろ覚えですがこんな感じでした(2015年当時です)

  • 愛育で無痛分娩を選択する人は年々増えていて、直近では大体お産の半分ぐらいが麻酔分娩
  • 麻酔は24時間対応。ただし、夜間のオンコール対応時や、麻酔科医が他の手術に入っているときは、麻酔を希望しても少し待ってもらうことになる
  • 希望すればどのタイミングでも麻酔を入れることができるが、できれば子宮口が4-5センチ開くまで待った方が、その後のお産の進みが順調(なので、そのくらいまで待つことを勧めている)
  • 無痛分娩になると、吸引・鉗子分娩になる確率は上がる。愛育の場合だと、自然分娩で吸引・鉗子分娩になる割合は5%程度だが、麻酔を使った場合は10%程度になる
  • 吸引・鉗子分娩のリスクとしては、吸引時に頭に圧力がかかってこぶのようなものができる、鉗子で掴んだ部分が傷になったり、まれに目の周辺だと目を傷つける、といったものがある。ただし、どれも一時的なケガのようなもので、命に関わるケースは非常に稀
  • 無痛分娩になるとお産の時間はのびると言われているが、最終的に帝王切開になる割合は自然分娩と比べても変わらない、という結果が出ている

こんな感じでメリット/リスクを述べたあとに、最後に女性の麻酔科医から印象的な発言がありました。こんな感じでした。

自然分娩と麻酔分娩でどちらが出産のリスクが大きいかと比べたら、やはり麻酔分娩の方が「自然分娩にはないリスクがある」と言える。ただし、そのリスクが母体や胎児の命に関わるようなケースは(ゼロではないが)非常にまれ。無痛分娩が始まって30年以上(数字はちょっと曖昧です)たつが、世界的にどんどん広がっていっているのは、そのリスクと得られるメリットを比較するとメリットの方が大きい、と考えられているから、だと思っている。

メリットとリスクのどちらか一方だけを強調するのではなく、両方をきちんと述べた上で、「リスクはゼロではないが、メリット>リスクと考える人が多いので、これだけ普及している」という話をされていた点、非常に納得感がありました。

 

次回に続く。続きはこちら。

 

娘が産まれて1ヶ月ぐらいの頃。茶トラは最初の頃から娘に興味津々。

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